幸せのかけら
ーーーーーー甘い甘い誘惑に逆らえない。
いってらっしゃいのキス、って何その憧れのシチュエーション。
"ーーー泊まります"
"ん、よろしい"
それから、仲良くカレーを食べて、
私がお皿洗ったら、隣で響が拭いて棚に直して。
お揃いのマグカップにコーヒーを入れて、テレビを見ていた。
"ーーー今日が初めてのひとり暮らしとは思えないくらい、モノが充実してるね"
"いろいろ調べて、前もって用意したから"
"ーーー大変だった?"
"まぁ。
けど、職場の先輩に聞いたりしたからそこまで。
ちなみに、このコーヒーメーカーは橘さんからのプレゼント"
頼もしい彼氏。
実家だからか、なんだか置いていかれた気分。
"ーーーこれから、愛のモノも増えていくんだろな"
"ん?"
"連休があれば、泊まりにきて。
身軽に来れるように、必要なモノは置いてっていいから"
"ーーーーありがと"
こてんと、響の肩に頭をのせると
同じシャンプーの匂いがする。
"なんかーーー幸せ"
"なんで?"
"同じ匂いがしたり、所々に私がプレゼントしたモノが置いてあってーーーーーー凄く嬉しい"
ぎゅっと腕を回す。
"離れるのは寂しいけれど、会えない距離じゃない。
ーーーお互い頑張ろうね"
返事の代わりに、抱き締められる。