幸せのかけら










"ーーーーーーすぐ駆けつけるのは難しいかもしれない。
でも、それでも、伝えてほしい。
寂しいときは寂しいって言って"


"うん"


"………あ、あとこれ渡しとくわ"










手のひらにのせられたのは、憧れていたもので。

こんな早く貰えるとは思ってなかったから、嬉しくてぎゅっと握った。










"ーーーいいの?"


"むしろ持ってて。
待ってると思うと、仕事頑張れる"




その言葉にちょっと涙目になりながら、コクコク頷くと。

響はちょっと耐えてるような目をする。






"ーーーやっぱムリ"


お姫様抱っこで連行されたのはベッドの上。




"響?
明日、仕事……"

"愛が起こしてくれるから大丈夫"

"お昼にさんざん…"

"ーーー足りないんだよ"





弱いところを知り尽くしている響に敵うはずなくて、どんどん力が抜けていく。



"ーーーまた1週間頑張れるように、充電させて"


私はただしがみつくので精一杯で、これは余計明日帰りたくなくなるなと覚悟した。












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次の朝。

すでにスーツ姿の響に起こされ、慌てて玄関へ。



"……一緒に朝ごはん食べたかったのに"


"また今度楽しみにしてる。昨日ムリさせたから"




スーツ姿にみとれながら、くいっとネクタイを引っ張った。


"……………いってらっしゃい"



軽く触れ合うキス。


昨日は野獣だった響が、顔真っ赤にして照れていて。



ーーー結婚したらこんな感じなのかな、とふと思った。







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