幸せのかけら
愛のせいか、家に着いたからか、疲れがどっとくる。
ネクタイを緩めながら、キス。
いってらっしゃいのときは愛から
おかえりなさいのときは俺からするのが恒例になっていた。
"お腹すいた"
"用意できてるよ"
"手伝う"
愛に家事させるために来てもらってるわけじゃないから、休みの日はのんびりしてくれたらと思う。
でもいつも、温かいご飯とお風呂の準備をしてくれている。
その気遣いに、愛を想う気持ちが増す。
"ーーーこれ食べたかったやつ!
ありがとー"
片付けて、テレビ観つつくつろぐ時間。
帰りに買ったアイスを渡し、俺はコーヒーを飲む。
"ーーーそんな旨いの?"
"ひとくちあげる、はい"
アイスひとつで、こんな無邪気な愛が見られるなら、次は何を買おうかとつい考えてしまう。
"最近残業続きだね"
"あー、今プロジェクト始まったばっかりだから。
今は特に。
愛だって、たまに連絡遅いときあるだろ"
"時々ね。でも私は実家だし……
大丈夫?
もうお風呂入る?"
心配そうにする愛。
確かに疲れてるけど、この時間に癒されてるのも事実で
まだ愛といたいと抱き締めた。