幸せのかけら
ーーー同じ柔軟剤のにおいがする。
白黒で統一されていた空間に、所々愛のモノが置いてあって
それがまた心地よい。
"……いつもお疲れ様"
ポンポンと優しく背中から愛の温もりを感じる。
堪らなくなって、抱き締めてる力を強くする。
"…………苦しいよ"
"ごめん"
愛も抱き締め返してきて、香りが強まる。
"とりあえずお風呂入ろ、疲れた顔してる"
"ーーーいっしょに?"
"だめ"
"ーーー風呂場で寝るかも"
"…今日は甘えん坊だね"
クスクスとしょうがないな、と愛は俺の願いを叶えてくれた。
初めて一緒に入ろうとしたときは、電気消して、目を閉じろと、とにかくうるさかった。
愛のことはもう全部みてるのに、何がそんな恥ずかしいのか。
今は手を出さないことを条件に、たまにこうやって一緒に入ってくれるようになった。
今日はなんだか凄く甘えたい俺を悟ったのか、ドライヤーを洗面所から持ってきて、髪をかわかしてくれた。
お礼に、今度は俺がかわかす。
"響、かわかすのうまいね"
"…そうか?"
柔軟剤とは違う香り。
愛のお気に入りシャンプーらしく、今は俺も愛用している。
かわかし終わり、再び今度は後ろから抱き締める。