幸せのかけら
ーーー職場の人と彼氏が話してるのってなんだか不思議だ。
"今日はちょっと忙しくてね。
普段はここまで遅くないから"
"そうですか。
これからもよろしくお願いします"
"……しっかりしてるわね。
お邪魔しちゃ悪いから、ここで。
山中さん、明日も頑張ってね"
先輩は響を話せたことに満足したのか、笑顔で去っていった。
"ーーー響"
"ん?"
やっと響が迎えにきてくれたことを理解して、とりあえず今の気持ちを伝えてみる。
"…会いたかった"
"ーーー俺も。
仕事お疲れ様。
いつも会いにきてくれてるお礼。
車で来たんだ。雨だし乗って?"
"ーーー私自転車だから。
明日が…"
"明日の朝も送るから"
紳士すぎる優しい響にときめきながら、車に乗った。
助手席に乗ると、頭ポンポンされ出発。
"ーーーいつこっちに?"
"仕事終わってそのまま。
で、実家帰って、車借りてきた"
"私がまた仕事中だってよく分かったね。
今日だって予定聞かれてなかったし"
ーーーーーーもしかしたら、友達と約束してたかもしれない。
"…金曜は特に忙しいって前言ってたし。
賭けてみた。
あと30分待って出て来なかったら連絡しようと思ってたよ"
ーーー不確かな状況なのに、会いにきてくれた。
嬉しくて、運転中の響に触れたくなった。
"ーーーどこ、行くの?"
"…………どこがいい?
ま、とりあえずご飯な。何食べたい?"
"響食べた?"
"軽くは"
"この時間だし、うどんがいい"
"りょーかい"