幸せのかけら
拗ねる私をみて、クスクス笑う響。
"……いじわる"
"ごめんごめん。
まさかこんな喜んでくれると思ってなかったから"
ーーー嬉しいに決まってる。
彼氏が仕事先まで迎えにきてくれるなんて。
"自転車ないと出勤のとき困るだろ?"
"うん"
"さすがに運べないし。
……俺も明日帰るんだ"
"え、そうなの?"
ーーーもう帰ってしまうのか。
少ししょんぼりしていると
"……また迎えにいくから。
今度は自分の車で。
そのときは俺の家に一緒に帰ってもらうから"
"ーーー車買うの?"
突然の発表にびっくり。
運転中だから目は合わないけど、凄く大人に見えた。
"ーーーいつまでも親の車借りるのはな。
それに車があれば、ここまで運転して来れるし。
明日父さんと車見に行ってくる"
"大人だね"
"社会人になって一番欲しいって思ってた。
大きな買い物だけど…決めた。
これからはドライブも付き合って"
"うん、楽しみ"
ーーー少しずつ変化していく。
大学時代に比べると、会う回数は格段に減った。
でも楽しみ方が増えて、濃度が濃くなった。