幸せのかけら
すぐさま玄関で確認。
大きい傘が置きっぱなし。
おそらく折り畳み傘を持って行ったんだろう。
ーーーーーー迎えにいこうかな。
職場まで迎えにきてくれた嬉しさを思い出し、サプライズしたい心が芽生えてくる。
たまには彼にも驚いてもらいたい。
傘を2本取り出して、マンションを出る。
響の会社の住所を確認しながら迎えにいくことに。
ーーーーーーーーーーーーーーー
定時から15分ほどたった。
会社の入口近くに、少し屋根があるところで待機。
屋根が小さいから、傘はさしたままで。
次々と出てくる人を確認しながら、響を見逃さないようにする。
"ーーーーーーあ、"
待ちわびた人が出て来て、折り畳み傘を取りだそうとしてるのかカバンの中を探っている。
声を掛けようと近づくと。
"響先輩!
傘持ってないんですか?"
"いや、折り畳みある"
"雨凄いですし、良かったら私の傘に入りません?
それより、響先輩も飲み会行きましょうよ‼
この前は来てくれたじゃないですかあ~"
"用事あるし。この前は仕方なくだから。
ーーーそれより、手離せって"
"い・やです。
せっかくのチャンスですし。
私諦めていませんから"
ーーーーーーその可愛い子は誰?
胸を押し付けながら、響の腕を組んでいるシーンに
心はモヤモヤしてくる。
響が拒否してるのは分かるが、嫌なものは嫌。
ここで健気な彼女なら、様子を窺うのかもしれないが
私はそんな可愛い彼女じゃない。
ーーーーーー声が届く距離になったとき、いつもより大きな声で呼び掛けた。