幸せのかけら
"ーーーーーー響"
"…………………え、愛?"
"雨が降ってきたから、傘持ってきたの。
ーーーお邪魔だった?"
チラッと腕へ視線を移すと、響は力強く振りほどいた。
"きゃっ!
響先輩ーーー"
"彼女に誤解されたら困る。
早く飲み会行けよ。
あと、前も言ったけど
後輩としか思えないから"
早口に告げると、私のところへ駆け寄ってきた。
"ーーー愛。
迎えさんきゅ"
"…………濡れるよ、早く入って"
ーーーチラッと彼女を見ると、悔しそうな表情。
なんて声かけたらいいのか
いや、声をかけない方がいいのか悩んでいると
"ーーー噂通り、なんですね。
先輩、すみませんでした。
彼女さんとお幸せに"
"あ、あの!
彼のことは必ず、幸せにします"
とっさに出た言葉。
思わず口を抑えるけど手遅れで。
彼女はびっくりしてたけど、笑顔で頷いてくれた。
"ーーーこれは、完敗ですね。
先輩、飲み会行ってきます。
お疲れ様でした"