幸せのかけら
ーーーーーーどうしたらいいんだ。
せっかく迎えにきてくれた愛に、嫌な思いをさせてしまった。
今も少し怯えているが、離れるのが怖くて
傘1本で帰っている。
ーーーしっかり肩を抱いて。
"ーーー愛、さっきのことだけど…"
"響、今日は私がデザート選んでいい?"
"ーーーーーーいいよ。
何がいい?"
"ショートケーキ"
ーーー怒ってるのか、悲しいのか、気にしてないのか。
あまり俺の話を聞きたくないようなので前者の方か。
せっかく会えてるのに申し訳ないな、と思いながら
とりあえず愛の様子を窺うことにした。
ーーーーーーお互い食べたいケーキを買い、マンションへ。
"今日は混ぜご飯だよ"
"ーーー何混ぜてんの?"
"鮭と大根の葉と卵とゴマ"
"うまそう。とりあえずご飯食べたい"
ーーーご飯食べながら、ちゃんと話を聞いてもらおうと決意。
鍵を開け、先に愛を部屋の中へ入れる。
後ろから抱き締めようとすると、愛が振り返るのが先で
逆に抱き締められたーーー。
"愛?"
"ーーーちょっと黙ってて"
ぐいっとネクタイを引っ張られ、愛からのキス。