幸せのかけら
"ーーーこんなに想ってるの俺だけなのにな。
他の人を見ろとか普通に言ってくる。
彼女作ったことあるけど、ダメなんだよ。
あいつ以外ダメなんだと確認するだけ"
ぐいっとグラスを傾け、酒を飲みきる。
"ーーーピッチ早い"
"……初めて話したよ。
響見てると、俺も頑張ろうと思うんだよ"
"ーーーーーーこれからもアタックするのか?"
"もちろん。
何年越しだと思ってるんだよ。
ちなみに今同じ職場だし"
"は?"
"医者なんだよ、あいつ。
本当は俺も医者になろうと思ってたんだけど、薬に興味湧いて。
いろいろ考えて同じ業界の薬剤師を目指した。
…………俺の愛、重いだろ?"
ーーーーーー今まで知らなかった、匠の一面。
いろいろ衝撃はあるが、少しホッとした。
こっちの方が人間味があっていい。
"ーーー頑張れ。
俺、お前よりイイ男知らない"
"さんきゅ。
お前も頑張れよ。
山中さんイイ女なんだから、手放さないようにしろよ"
"ーーー手放すかよ。
愛に惚れるなよ?"
"ないない。
親友の女だぞ?
あいつが、山中さんみたいに俺のこと考えてくれないかなとは思ったことあるけど"
ーーーーーー相思相愛で羨ましいよ
匠からの言葉に少し照れると同時に、早く会いたい衝動にかられる。
"ーーー響はさ、結婚考えたことない?"