幸せのかけら




"気にしないで。
愛は頑張りすぎ。
今日は早く寝なよ"




結は私を響の方へぐいぐい押し始めた。





"分かったから。
ありがとう、じゃあ後よろしくね"




"愛行くぞ
じゃあ笠井、お疲れさん"



"黒崎!
愛にムリさせんじゃないわよ"





響に引っ張られながら、私は結に手を振った。









"響、どこ行くの?
ラウンジじゃ……"





引っ張られるがまま着いていくと、コンビニのあるラウンジではなく、反対の階段を登る響。



最上階となり、行き止まりになった。





"下、行かないの?"






なぜかそこに座り込む響に合わせて、私もしゃがんだ。








"笠井が心配してた"



"結が?
もしかして、結に呼ばれて"



"違う。
頼まれたわけじゃなくて、ちょっと廊下で話してただけ。

愛に会いにきたのは俺の意思"




ぐいっと引っ張られ、響の足に閉じ込められた。

向かい合ってるため、距離が近い。









"愛、ほんと頑張りすぎ"



"でもムリしてないよ。
朝早い分、早く帰ってるし"



"ムリしてるって。
さっきこめかみ押さえてた"





ポンポンと優しく頭に触れられ、響の優しい瞳に力がスーッと抜けていく。







"……実験上手くいかなくて"



"ん。俺だってよくある。
頑張らなきゃいけないときだってあるけど、息抜きだってしなきゃいけないときは、しないといけないんだよ"





この心地よさに、頭を響の胸にくっつけた。







"もっとまわりを頼っていいんだ"






ーー愛が頑張ってるの、皆知ってるから








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