幸せのかけら
"へー。黒崎がね。
どこ行くの?"
"何も聞いてない。
多分どこか食べにいく感じだと思うけど"
興味があるのかよく分からない結と話していると、先生が教室に入ってきた。
"あの人の髪型、マッシュルームみたい"
"ぷっ、本当だ"
個性的な先生は教室全体を見渡し、口を開いた。
"皆さん、初めまして。
まず皆さんに、言っておかないといけません。
今日予定の講義内容はしません"
ーーそんないきなりの発言に、ざわつきだす。
先生はこういう状況になると分かっていたのか、淡々と話し始めた。
"今日は、私の専門の話をしようと思います。
これから薬剤師として、医療人として、社会に出る皆さんに、少しでも考えてほしいです"
つまならい人は別のことしても良いですよ、とにこやかに話した。
"なんか面白いね、先生。
じゃあ私は自己分析しよーっと"
結はさっそく鞄からプリントを出した。
もう講義を聞くつもりはないらしい。
"愛は何するの?"
"んー、とりあえず話聞いてから考える"
つまらなかったら勉強でもしよう。
そう心に決めて、講義を聞くことにした。