幸せのかけら
それぞれ屋台で食べたいものを買い、シートのあるところまで持ってきた。
"……もう花火始まる"
"誤魔化さないでよ、今日くらい答えてよ"
"そういう、愛は??"
"え"
"愛はなんで、去年OKしたんだよ
俺、振られる覚悟してたんだけど"
もう話してるかと思ってた。
それとも響が忘れてるだけなのか。
響を見ると、本当に知りたいって顔をしてる。
"花火大会に行くもっと前から、響が好き"
"………!!"
"いつからなんて分からないけど、いつの間にか響ばかり見てた"
固まる響の肩にもたれかかり、顔をあげる。
"……好き。
これからもよろしくね"
えへへ、と笑うと
響は手で顔をおおった。
"ほんと、愛って素直だよな"
"こーいうことは、大切なんだから。
はい、次は響の番"
手をグーにして、マイク風に響の口元に持っていった。
響はそっと私の手をつかみ、ゆっくり指をひろげた。
"小さいな"
"響ー??"
"はいはい。俺は……
っと、花火始まるって。
続きはまた今度"
"もう……!!"
音楽が流れ、花火が始まる合図。
次からあがる大きな空の花に、目を奪われていた。
お互い何も発しない。
たださっき小さいって言われた手は、ずっと温かかった。