幸せのかけら
後ろからぐいっと、響が私の首に腕を回した。
ふわっと、せっけんの匂いがした。
"ーーいちゃつかないでくれる?
今、大切な親友にデートの予約をとってたんだけど"
"それは残念だな。
俺の大切な彼女は、いつも予約済みだから。
また改めてください"
"ちょっ………
結の前で恥ずかしい"
嬉しいけど、今は恥ずかしさが勝ってる。
私はすぐ帰る準備をし、響の腕を掴んだ。
"さ、帰ろう。
結!また連絡するね!"
"はいはい。
ダーリンと楽しんできてね"
呆れながらも優しい結に別れをつげ、響と教室を出た。
"響、恥ずかしいよ。
結の前で……"
"友達の前だから、別にいいだろ。
愛……なんか久しぶり"
"うん。ずっと電話だけだったもんね"
"寂しかった?"
"……さあ?
どうでしょう"
"じゃあ、この手は何??"