幸せのかけら




ぐいっと響を掴んでた手をあげられた。





………腕だと思ってたのに。








"俺と手を繋ぎたいくらいは寂しかったってことだよな?"




"…………っ、いじわる"






思わず離そうとしたが、逆に指をからめられる。









"いじわるで結構。
愛…今日なんだけど"




"うん。これからどうするの?
今日の予定何も聞いてない"





今日は講義があったため研究する時間がなくて、研究室があるときより帰るのが早い。


一緒にいられる時間が長いとワクワクしながら、響の答えを待ってると。









"ごはんは予約してある。
明日土曜で休みだし、ダイニングバーでお酒飲みながらゆっくりしよう。
で、ちょっと話して解散しようと思ったけど…"





"え、何"






"……どっかホテル取らね?"






響のいきなりの爆弾発言に、思わず立ち止まった。








"ええ?!!
い、いきなりどうしたの"





"なんでそんなに驚くんだよ。
愛だって、1年記念日のとき誘ってきただろ"






"さ、誘ったって…!!
私は響と一緒にいたかったから"



"俺も今そーいう気分なの。
最近ゆっくり話してないし、今日の講義聞いていろいろ考えた"




"………何を?"




響が講義聞いてたなんて意外と言うと怒られるから、心の中にとどめた。







"こうしてる時間が大切なんだって。
俺も愛に確認したいことあるし、愛も俺に聞きたいことあるだろ?"





ぐいっと私を引っ張りながら歩く響に、再び足が止まりそうになった。







"なんで…………"




"実習中、電話してたときいつも何か言いたそうだった。
隠し事はなしだから。
あとは……単純に愛といたいだけ。
いきなり泊まりとかムリ?"







ーーどうして、響にはバレちゃうんだろう。



恥ずかしさと嬉しさが混ざりあう、そんな複雑な気持ちが溢れる。






"………一緒にいたい"







ぎゅっとお互い強く握りあい、大学をあとにした。




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