幸せのかけら
"俺は企業で働きたいって思ってる。
勤務地は………第一希望は地元だけど、特に決めてない。
今は地元に本社がある企業から調べてる"
ーー離れるかもしれないんだ、そう漠然と思っていると
"勘違いするなよ、俺は愛を手放すつもりは一切ない。
そばにいて欲しいっていうのが素直な気持ち"
"……うん"
"愛は、俺がそばにいたいって理由で勤務地決めたら怒るだろ?
甘えるなって"
"ーーどうして、分かるの?"
"…………なんとなく"
ぎゅっとしがみつく。
ーーーーできることなら、響にも地元で就職してほしい。
でもそれは、単なるワガママ。
私には私の、響には響のやりたいことがある。
たとえ遠距離になったとしても、そこは応援し合いたい。
"響……好き。
たとえ遠距離になっても、離さないでね"
"当たり前。
勤務地を地元だけに絞らない方が、いろんなことを経験できると思ったんだ。
不安にさせて、悪かった"
ーーーー私の不安は、響の手にかかれば一瞬で消えてしまう。
私たちは、これからどう"今"を生きていくんだろう。
1年先、10年先も、隣にあなたがいると
信じてもいいですか。
"次は響の番。
話って何?"
ゆっくり顔を上げ目線を合わすと、何故かそらされた。