幸せのかけら
"何?
ちゃんと話して"
"……これからなんだけど。
これから2人で遊びに行くのとか難しくなるだろ。
就活に国家試験もあるし。
だからさ、朝一緒に勉強しないか?"
"ラウンジとかで?"
"そう。
勉強じゃなくてもいいんだけど、一緒にいる時間を作りたい。
どう?"
よっぽど恥ずかしいのか、さっきから目線を合わせてくれない。
響の顔を無理矢理こっちに向けさせ、唇を奪った。
"おい"
"ごめん、嬉しくて。
私のこと考えてくれてるんだなと思って"
"さっきから俺のことからかいやがって。
はい、じゃあ話はおしまい"
視界が反転し、目を開けると、響の顔とその奥に天井が見えた。
"じゃあ今からは俺の好きにさせてもらう"
"……最初から、これが目的だったでしょ?"
抵抗すると、クスリと笑いながら私に触れてきた。
"響…ちょっと待って"
"待たない。
言っとくけどな、愛がどこにも行かないように、これでも必死なんだよ。
今から分からせてやる"
ーーそれからは、響で心も身体もいっぱいになった。
どこにも行かないよう捕まえるのに必死なのは、私の方なのにね。
その夜は、いつも以上に響に甘えてしまった。