幸せのかけら
親友との夜。






"へー、黒崎は企業志望なんだ"





パクリと私がおごった季節限定のデザートを頬張る結。


この前、お泊まりの口裏を合わせてもらったお礼だ。






"うん、とりあえず地元から探すって"


"絞らないと数多すぎるしね
愛はそれでいいの?"


"うん。
響が決めたことだから"


"出来すぎた彼女ね。
ほんと黒崎にはもったいない"






泣き真似をしつつ、私のことをじーっと見つめてきた。




"………何?"



"いきなりお泊まりするなんて、愛ちゃんも大人になったんだなと思って"



"……協力してくれて、ほんとに感謝してます。
もう勘弁して"



"着替えとかどうしたの?"



"ご飯食べる前に、買い物した"




お金持ちー!!って冷やかされ、恥ずかしくなる。

結様のおかげで響といられたわけだし、ここは我慢してみる。











"結は?
この前気になるっていってた、バイトくんは?"



"あー、あれはなし。
私、社会人になってから探すことにした。
今は目の前のことに集中するわ"



"あ、そうですか…"



あっさりな結に、少し拍子抜けする。
けれど、こうはっきりしたところが好きだな、と思う。






"ねー、愛。
愛は黒崎と結婚したい?"



"…………え、どうしたのいきなり"




突然の質問に戸惑う。




"ふと思っただけ。
だって、私たち今年24でしょ?
昔は24で結婚する予定だったんだけどなー"



"私も、24で結婚する予定だった。
ほんと、現実は違うね"






結婚、か…………。




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