幸せのかけら
"…………いつか、したいなって思う"
"ふーん。
黒崎と絶対結婚する!って言うと思った"
黒崎かわいそうーとからかう結。
"今目の前のことでいっぱいで、結婚とか先のイメージができないって感じかな。
まずひとりで生活できる気がしない"
"私も親に甘えてるしなー。
まずは独り立ちしないとね"
"そうだよー。
まず料理できるようにならないと!
響だって、さすがにご飯作って欲しいだろうし……"
"そこまで考えてるの??
やっぱり黒崎が未来の旦那じゃん"
"……一緒にいる中で、ふと結婚したいって思ったりするのかなぁ"
くるくると目の前のストローを回してみる。
"愛はさ、黒崎のどこが好きなの?"
"え!何いきなり"
"ちゃんと聞いたことなかったなと思って"
……響の好きなところか。
少し考えてみる。
"……分からない。
けど、楽しいときも辛いときも隣にいて欲しいって思う。
響は一緒にいて…すごく心地よい"
好きになる理由なんて、ないのかもしれない。
響だから、好きになったんだとも思う。
"響は、とても素直だから。
いつも正直に伝えてくれるからとても安心するし、私もそれに応えたいって思う"
"愛、ほんとに幸せそう
うらやましいくらい"
"うん。幸せ、かな。
もちろん、こうやって親友との話してる時間も幸せだよ"
にこっと笑うと、なぜか結は苦笑した。
"……何?"
"ううん。
ほんと、黒崎が愛にメロメロになるのも分かるわ。
黒崎に愛を取られるのが、ムカつくくらい"
"何それ"
"愛は知らなくていいの。
黒崎が愛のことであたふたしてるの見るの楽しいし。
あー、ほんとバカップル見てると、彼氏欲しくなるわ"