幸せのかけら
"綺麗だったね!!
それに、大きかった!!
やっぱりここの花火好き"
"それは良かった"
圧巻の花火がみれて、ご機嫌な私。
まわりの人と同じようにシートを畳み、帰る準備をしていると。
"愛"
"んー?"
"ちょっと散歩しないか?"
"散歩??"
"今帰ったら、駅人多いし"
響に誘われ、河川敷をゆっくり歩く。
さっきより歩くスピードが速くなった響に不安を感じ、思わず呼びかける。
"響……"
"多分俺の方が先"
"え……?"
"研究室が隣になる前から、俺は愛のこと知ってた"
"………"
"たまたま研究室が隣になって、話せるようになって…………そして今、俺の隣にいてくれてる"
突然の話に私は響を見つめることしかできなかった。
立ち止まった私を振り返り、こっちに向かってゆっくり歩いてくる。
"俺にとって、1年続いてることも奇跡なんだ。
これから研究、就職活動、国家試験といろいろあるし、先のことは分からないけど、俺は今、ずっとこの時間が続けばって思ってる。
これ、受け取ってくれる??"
受け取ってくれる?って聞いときながら、右の薬指に冷たい感覚。
ゆっくり目線を下ろすと、控えめにキラキラ輝くもの。
ーーそうだ、1年前もこんな感じだった。