幸せのかけら
そこからは、今の就活の状況や国家試験についてなど真面目な話をした。
時間はあっという間に過ぎていく。
"もうそろそろかな"
"まだ話足りないけど、また今度だね"
結はケータイをチラッとみると、話を続けた。
"愛、明日の朝から黒崎と勉強??"
"そうだよー。
朝1時間くらいだけどね"
"朝からよくやるね。
私はムリ"
"響に会えるから、頑張れるよ。
それに遊びじゃなくて、勉強するんだからね"
"……黒崎は勉強にならなそう"
"なんで?"
"内緒。
ムリしちゃダメだからね?"
"うん、ありがと。
それと、今回は本当にありがとう。
今度はちゃんと結の家行かせてね"
"楽しみにしてる。
ね、黒崎ってどうなの?"
"どうって………何が?"
"決まってるじゃん。
夜の方はどうなの?"
"なっ…………なんで帰る直前に。
もう帰ろうよ"
"い・や。
こんな時じゃないと聞けないし"
"そんなこと言われても………わかんないよ。
私響しか知らないし"
"えー、でも良いか悪いかは分かるでしょ?"
いきなりの話に戸惑って立ち上がろうとするが、腕をぐっと捕まれる。
ニヤニヤしてて明らかに面白がってる。
"結ー、もう勘弁"
"言ったら離す"
"っ、好きな人としてるんだから、良いに決まってる、じゃん"
話の内容が恥ずかしくて、早く解放されたくて出た言葉。
"だってさ、良かっね"
"…………はい?"
後ろを振り向くと、
"絶対わざとだろ、趣味わりー"
ーーたった今、話に出た、私の好きな人がいた。