幸せのかけら
"山中さん"
研究も終わり、ひとり帰ろうとすると、河野くんに声をかけられた。
"河野くん。私……"
"何度もごめん。結がいたら話もできないから"
"悪いけど、私結構傷ついてるの。
そっとしてほしい"
"響のこと知りたいだろ?
罪滅ぼしじゃないけど、答えられることは答えるよ"
"いい。
響の口から聞きたいから"
"でも話してくれなかっただろ?"
…………思った以上にしつこい河野くん。
それになんで、響が何も言わなかったこと知ってるんだろう。
"山中さんの言いたいこと分かるよ。
でも、響の気持ちも分からなくはない。
嘘つくのはどうかと思うけど。
俺で良ければ話聞くよ?"
"……私、今は響の彼女だから。
他の人と2人にはあんまりなりたくない"
"今は、ね。
今日集まりがあるんだ。
よかったらそこに来なよ。
ひとりで考えるより、他の男の意見も聞いた方がいいかもよ"
ーー自分の感情や気持ちがブレない
私の、やっかいな性格。
良い意味では、自分の意思をしっかり持ってるってことだけど。
今は、私が頑固になる場合じゃないのかもしれない。
"山中さん"
河野くんは悩む私の鞄を強引に奪った。
"ごめん。
こうなったこと、俺なりに責任を感じてるんだ。
だからこそ、今日は俺に付き合って"