幸せのかけら
"すいませーん。
これと同じのもう1つ"
ガヤガヤした大きな部屋。
あれから河野くんに連れて行かれるがまま、響の所属するサークルの集まりに参加した。
といっても、河野くん以外あまり面識がないので、はしっこで河野くんと2人で飲んでるようなものだ。
"…山中さん、結構お酒強いね"
"でね!聞いてる?"
"うん。
嘘ついたことが許せないんだよね?"
"そう!!
すぐバレるの分かるはずなのに、内定決まったって聞いて喜んだ私の立場は?
自分は私に隠し事はなしっていうくせに!
カッコつけてるのかもしれないけど、そんなの全然カッコよくない!"
ぐっとさっき注文した梅酒のロックを飲む。
"………俺と話した後、響に会いに行ったんだろ?"
"うん。
問い詰めたけど、黙ってるだけだった。
ごめん、すら聞いてない"
………響に、見えない圧力をかけてしまったんだろうか。
あのとき、私はただただショックだった。
"……これから、響のことどう信じればいいんだろう"
"それさ、偏見だろ?"