幸せのかけら
"真面目で結構"
"誰だって間違うことあるだろ?
それを許せないようじゃ、その程度の気持ちなわけ?"
"逆だよ!
好きだから、それだけ反対の気持ちが大きくなるの!"
"それを愛情でカバーしろよ"
……この人の言うことも、分かる。
私が頑固だってことも。
けど、けど…
"響の全部を知るのは難しいと思う。
けど、知りたいって思うのは私が欲張りなのかな…"
泣きたいとき、辛いとき、そばにいないとしても、
その気持ちに寄り添っていたい。
楽しいとき、嬉しいときは、思いっきりくっついて笑いあっていたい。
そして…
"怒ったときは、ちゃんと言葉にして欲しい。
間違ったなら、ごめんって。
ケンカしたっていいの。
…今の響とはケンカすらできなかったけど。
ほんとは、きっと、あなたのいうように、惚れた弱みで…
響のこと、心の中では許してる。
でも、これから先、嘘つかれてるかもって疑ってしまう。
それは…好きだからこそ、耐えられない"
なんだか自分が何言ってるのか分からなくなってきた。
ウルウルしながら、相手をみる。
"……そんだけ好きなら、信じてやれよ。
はい、頼んでた飲み物"
レモンチューハイを受け取り、なんだかんだ話を聞いてくれたこの人に好感をもつ。
"話聞いてくれて、ありがとう。
名前は?
一口飲みながら、問いかける。
"吉川。
響とはサークルが一緒"
"…そっか。
吉川くん、ほんとにありがとう"