幸せのかけら
グラスを持ち上げ、ニッコリ笑った。
"……気づくってことは、そんな酔ってないのか"
"酔っても、醒めるのが早くて。
でも、助かった。
ちょうど欲しいなーって思ってたの"
吉川くんがくれたのは、チューハイではなく、水だった。
こんなさりげない優しさ、好き。
"吉川ばっかズルいぞ!
山中さん!
響はほんとにいい奴なんだよー
だからちょっと考え直してやって!"
吉川くんから視線を移すと、私たちの会話を聞いていた他のメンバーが前のめりに言ってきた。
"……俺もだけど、おまえらも関係ないだろ。
2人が決めることだ"
"そうだけど‼
応援くらいいいだろ!!"
"……ははっ"
あまりにも必死で、思わず笑いがこぼれる。
"山中さん?"
"……今日、ここに来て良かった。
響は良い友達に囲まれてるんだね。
今日お邪魔させてもらって良かった、ありがとう"
……響に会いたい。
今なら、素直に言える気がする。
許したわけじゃないけど、他の人の意見を聞いても、結局は2人の問題なんだ。
それでも、こうやって回りの人の存在の大きさを感じる。
……ね、響。
今なら、少しは心を開いてくれますかーーー?