幸せのかけら






………今日は楽しかったな。
揺れる電車の中、考えるのは響のこと。


次会ったとき、ちゃんと話し合えるかな。
私のこと、嫌いになってないかな。






ゆっくりケータイを開き、響へのメッセージを打つ。
……なんて、書こう。
でもやっぱり…


悩んだあげく、今一番思ってることを送った。






ーー会いたい






返事がくるか不安で、すぐ鞄の中になおす。
どうか、私の気持ちが届きますように。





地元の駅に着き、改札をくぐると、思わず足をとめた。


夢なのか、思いが強くて幻覚がみえてるのか。






"愛"


"……きょ、う?"


"会いに来るの、遅くなって…ごめん"







真っ直ぐ私を見る響。




"……やっと"


"ん?"



"やっと、こっち見た"






少し痩せた?

寝てないのか目が赤い。






そんな私の呟きに、響は黙ってぎゅっと抱き締めてくれた。




"ごめん、ごめん"





黙りこむ私に不安になったのか、抱き締める力が増す。




私は言葉が出なくて、ただただ響の胸に顔を埋めた。







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