幸せのかけら
"……はい、どうぞ"
駅近くの公園に移動し、響が買ってきてくれたホットミルクティーを受けとる。
私の好きな飲み物。
分かってくれてることに、嬉しくなる。
"21時すぎたな。
帰りちゃんと送るから"
"うん"
隣のベンチに座るけど、微妙に空いた空間。
会いたかったくせに、なんて切り出したらいいのか分からず、手元のミルクティーに目線がいく。
"愛"
"ん?"
"この間は……会いにきてくれたのに、ごめん。
俺の話、聞いてほしい"
"……うん"
やっと、聞けるんだ。
私も、ちゃんと向き合わないと。
響の方に目線を向けると、バチっと目が合った。
"愛のこと、凄いなって思ってるんだ"
"え……"
"研究にしても、勉強にしても……嫌だって弱味みせたり、文句いっても、なんだかんだ、ちゃんとやりこなして結果を出してる。
もちろん、それは愛の努力の結果なんだけど、俺には愛がキラキラしてみえた。
俺も負けてられないって刺激を受けてた。
けど、時々……自分がちっぽけに思う時もあった"
……胸が詰まって、なんて言えばいいのか分からなかった。
響がそんな風に思ってたなんて知らなかった。
"……愛の内定が決まって、焦らなかったって言ったら嘘になる。
けど、どこも最終面接で落ちて……自分が情けなくて。
愛にどう伝えたらいいか分からなくて、一番やってはいけないことをした。
傷つけたかったわけじゃない。
余計な心配かけたくなかったし、ただ回りを見る余裕がなかった"
連絡が取れない間、研究や勉強で気を紛らしても、響のことが気になってた。
響も、苦しんでたのかもしれない。
"……愛といる時は、いつも自然体でいられて、それが心地よかった。
けど、嘘ついて、情けなくて苦しくて。
だんだん愛と一緒にいることができなくなっていった"