幸せのかけら
響の熱い目に、体が熱くなった。
"響、へんたい"
"彼氏にいう言葉かよ。
しばらく、愛に触れてない。
浴衣だからなー、着付けできたら…"
私の頬に優しく触れながら、何度も溜め息をはく。
"浴衣できてって言ったのは響だよ"
"分かってる。
今必死に我慢しようとしてるから待って…"
"我慢できるの??"
"愛、からかうな"
"私はできない"
ピタッと手が止まり、私の目の高さまでしゃがんだ。
"愛??"
"私は響に触れたいよ"
"………っ!!!"
"これ……"
私は巾着から、あるカードを取りだした。
"着替えとかの荷物置いてきた。
明日、研究室休みでしょ??"
某有名ホテルのルームキー
翌日にはビュッフェも付いてる。
そこのビュッフェは予約困難なほど人気で、響がテレビでみて行きたいって言ってたところだ。
私からのプレゼント。
"今日はずっと私の隣にいてほしい"
引いたかな。
私から誘ったことなくて、ぎゅっと目を瞑った。
お互い実家通いの私たち。
なので、こういう時間はなかなかない。
恥ずかしいけど、私だって欲くらいある。
好きな人には触れたいし、触れてほしいって思う。
なかなか返事しない響。
やっぱり引かれたかなと思った矢先、
"愛にはかなわねー"
ぐいっと引き寄せられ、目を開けたときには2人の距離がゼロになっていた。
"ん……"
ちょっと強引で優しいキス。
"愛、男前だな。
愛から誘われるとは思わなかった。
今日覚悟しろよ??"
ニヤッと笑いながら、駅に向かう響をみて
ちょっと失敗したかと思った。