幸せのかけら






"……響"





"ごめん。
なんか愛の傷ついた顔みたら、何も手につかなくて。
明日面接なんだけど、いてもたってもいられなくて、会いにきた"






じっと見る私の方に歩みより、ふたりの距離がゆっくり縮んでいく。

ミルクティーをもつ私の手に重ねた。







"……好きだ。
こんなに情けない姿を見せてもいいって思うくらい、愛が好きだ。
もう嘘つかない。
これからも、隣にいてほしい"





……それは、ずっとずっと聞きたかった言葉で。


頑なだった心が、いい意味で崩れていく。








"……遅いよ、ばか"





ミルクティーを隣に置き、響に抱きついた。






"……情けなくたっていい。
カッコよくなくたっていい。
ケンカしたっていい。

響じゃなきゃ嫌。
響だから、一緒にいたいんだよ"






確かに、今回のことで傷ついた。

別れをよぎったけど、それでも一緒にいたいって思うのは











"愛、俺のこと…どう思ってる?"




"え"




"この前言われたこと、頭から離れないんだ。
傷つけた俺が悪いんだけど、上書きしてほしいです"







< 60 / 160 >

この作品をシェア

pagetop