幸せのかけら
ーーーもう許せないと思ってた。
嘘ついた側よりも、嘘をつかれた側はずっと覚えてる。
信頼をなくすのは一瞬で、取り戻すのはその倍も時間がかかる。
響のこと、これからどう信じればいいのか分からなくなった。
それでも、信じたい、と強く思う。
"愛が好きだ"
"……今日どうしたの?
もう一生分言われた気分"
"どんだけ短い人生なんだよ。
大嫌いって言われたとき、本気で愛が離れていくって感じた。
バカだけど、その時やっととんでもないことをしたって分かった"
今はこんなにも伝えてくれる。
真っ直ぐ、私と目を合わせてくれる。
"響"
"何?"
"…明日、面接終わったら電話していい??"
やっぱり面接が終わるまでそっとして欲しいかなと、遠慮がちに聞くと
"いや、明日昼すぎに終わって大学いくから
会いにいく。
だから、待ってて。
一緒に帰ろう"
ーーーーどうしようもないくらい、響が好きだ。
素直なところも、情けないところも
すべてを受け入れたいと心から思った。
"今回は許してあげる。
信頼が取り戻せるように頑張ってね"
そんな生意気な言葉にも、響は笑いかけてくれた。
"明日頑張れそう"
そんな響を見て、思わず抱きついてしまった。