幸せのかけら
ーーなんて切り出そう。
ソワソワしてしまい、勉強がはかどらない。
"よっ、お待たせ"
"ううん。
呼び出してごめん"
"いや、大丈夫。
昨日で面接も落ち着いたし"
"お疲れ様。
本命のところだもんね。
結果はいつ?"
"1週間後。
メールがくる"
響はあれから何社か受け、ひとつ内定をもらっていた。
けど、どうしても受けたい本命ができたらしい。
人事の人が良かったらしく、一緒に仕事がしたいって嬉しそうに話してくれた。
もともとその会社は考えてなかったらしい。
……本当に人生、何が起こるか分からない。
"で、どうした?
学校帰りだったから寄れたけど、愛が呼び出すとか珍しい"
何かあった?
と私の頭に手をポンッと置き、顔を覗きこむ。
少し前は目も合わなかったのに、今はこんなにも瞳に映ることが素直に嬉しい。
ーーああ、やっぱり。
"響がいい"
"は?"
"響の彼女がいいなって思って"
"俺の彼女だろ?
何言ってんの?"
"吉川くんに告白された"
ピクッと手が動き、ゆっくりと頭を撫でた。