幸せのかけら
"2人でゆっくりしようね"
"はいはい。仰せのままに。
けど、もうチェックインの時間だから行くぞ"
響の運転する姿にトキメキながら、話すのはやっぱり大学のこと。
模試のどこがダメだったとか、研究の論文がどこまで進んでいるか。
これから先のことを話せる、共有できる。
素直に嬉しいーーー
"響……忙しくなるかもだけど、クリスマスとお正月はどこか日にち作ってね"
"当たり前。ごはんは食べよ"
当然って感じで笑う響をみてたら嬉しくて、赤信号になったときに手を重ねた。
"……何?"
"いや、好きだなと思って"
"ーーー旅館、あともうちょっとだから。
お願いだから我慢して"
赤らむ響をみて、この時間がずっと続けばいいと思った。
"旅館着いたらどうする?"
実は今回は響が全部やってくれた。
行きたいところは決めたけど、旅館とか細かいところはお任せ。
"とりあえず風呂入って、そしたらご飯の時間になる。
で、そのあとは……ナイショ"
"えー‼
気になるよ"
楽しみにしとけって、頭をポンポンされた。