幸せのかけら
旅館はとても綺麗で、料理は豪華で。
ふたりでお腹いっぱいーと話していると、仲良くなった仲居さんがオマケですってスイーツを用意してくれた。
素敵なサービスって感動していると、響はちょっと赤らめながら受け取っていた。
"あっちに持っていっていいですか?"
"もちろんです、今日は快晴ですよ"
"??"
何の話だろう。
"愛、運動がてら外行こう"
"いいけど、スイーツは?"
"そこに持っていく"
仲居さんから何かの鍵をもらい、私は
"冷え込んでますから、こちらを持っていってください"
少し大きめの毛布。
"ありがとうございます"
"ふふ…素敵な時間をお過ごしください"
手はしっかり繋がれ、響に導かれる。
"響、どこいくの?"
"……2人きりになれるとこ"
エレベーターはどんどん上へ。
ドキドキ高鳴る鼓動。
チンと着くと、そこは間接照明だけで薄暗い。
すぐ近くの扉の鍵をあけ、ゆっくり開く。
"案内するから、目閉じて"
"え、うん"
両手をしっかり握り、ゆっくり前に進む。
カラカラとまた扉をあける音と同時に、ひんやりとした空気。
"………愛、着いたよ"
手を離されると同時に、背中に感じる温かさ。
ゆっくり目を開けるとーーー