幸せのかけら
男子会。
ーーとある夜。
10人以上入る大きな個室で、野太い声が響いていた。
"彼女ほしーーい!!!"
"お前それ何回目だよ"
今日は所属するフットサルサークルの飲み会。
次はいつどこで活動するか決めるのだが、だいたい、いつの間にかこういう話になる。
"羨ましいんだよ、誰かさんがキラキラしたやつつけてるからさ"
"あ、俺今日食堂で彼女もつけてるのみた!"
やべ、今日は俺が標的か。
顔を手でおおうと、ドンマイと隣から友達の匠<タクミ>の声が聞こえた。
男同士になると、こういう話はからかわれることが多い。
真剣に話せる奴は匠くらいだ。
"響見てると、彼女欲しくなる"
"もう1年なんだろ?
山中<ヤマナカ>さんに聞いたら、嬉しそうに話してくれたぞ"
……愛の奴、べらべらと。
けど、そんな姿を想像すると、渡して良かったなと思う。
"あれ高そう"
"なーいくらくらいするんだよ"
"金の問題じゃないだろ。
カードで払ったから覚えてねぇよ"
"男前!!"
"指輪選びに行くために早く帰ったのがバレて、教授に課題増やされたのは傑作だったな"
"おい!匠。
それ愛には絶対言うなよ"
"溺愛だねーー。
俺山中さんと話してみたいかも"
"人の彼女に関心もってどうするんだよ"
"まぁ、そうだけど。
けど1年続く秘訣を教えてほしいわけよ!
どんな人を彼女にしたらいいのかとかさ"
"参考にもなんねぇよ。
とりあえず好きな人を作れよ"
"見捨てるなって!
その幸せオーラ分けてくれよーー!"
……めんどくせぇ。
匠に助けを求めると、付き合ってやれ的な目をこっちをみてきた。