幸せのかけら
2人きりの時間はあっという間。
明日からまた目標に向かって頑張る日々。
チェックアウトの手続きをする響をロビーのソファーから見ながら、帰りたくないと思っていた。
"ーーー昨日は星空、楽しめましたか?"
声がする方を見ると、昨日あの部屋の鍵をくれた仲居さんだった。
"とっても綺麗でした!
わざわざ挨拶に来てくれてありがとうございます"
"いえいえ、素敵なお二人にまたお会いできて嬉しいです"
"凄く素敵な部屋で、本当に夢みたいな時間でした。
あの部屋に入って良かったんですか?"
チラッと響の方をみて、こっそり教えてくれた。
"ーーーーーーあの部屋は当館の特別室です。
星空が自慢で
もちろん宿泊者のみのご利用なんですけれど……
どうしても彼女に見せたいと、ご相談がありまして。
私たちは少しお手伝いをさせて頂いただけです"
"愛されてますね"
と、仲居さんの優しい声に、また涙が出そうになった。
響の優しさに、また好きが重なる。
"愛、帰るぞ。
あ、昨日はどうも"
"うん。
あの……また来ます!絶対に!"
なんかあった?と首をかしげる響。
"お待ちしております"
と仲居さんは明るく送り出してくれた。