幸せのかけら
"何話してた?"
車の中に入ると、すぐ聞かれた。
"ナイショ"
"愛、泣いてた?"
"泣いてません"
ハンドルに置いてある響の手を取り、手を重ねる。
昨日の夜、何度も繋ぎ、重ねた手。
"ーーー愛?"
"響、大好き"
響に触れたくて、今度は体を預ける。
"……帰りたくないね"
"ん、俺も。
またーーー来よう、一緒に"
返事の代わりにキスをして、ゆっくり車が動く。
"愛、ひとりで運転寂しいから寝るなよ"
"昨日寝かさなかったのは誰?"
"ガム噛んで"
いつもの会話。
これも私たちらしい時間。
この旅行は、私たちにとって大切な時間でした。
次の旅行で、どんなサプライズを私から仕掛けようかな
ーーーそんな楽しみも増えました。