隣の席の及川くん。
初めて
それから彼は毎朝必ず挨拶をしてきた
特別会話をするわけでも無くただ
「おはよう」
と言うだけの会話
私もしつこい彼に慣れたのか
普通に返すようになっていた
そんな5月の上旬
あんなに満開だった桜は面影も残さず
花が咲いていたはずの枝には緑の葉がたくさんついていた
ボトンッ
目の前にノートの切れ端のような紙が投げ込まれた
ん?
なにこれ
どこから飛ばされたのか気になりキョロキョロしていると
「見てみて!」
ボソッと隣の席の彼に言われた
今は現文の授業中
先生は黒板にすらすらと教科書の文を写している
不思議と思い投げられた手紙をひらくと
何とも雑に書かれた犬のやうな絵があった
なにこれ
私にどうしろと?
取り敢えず紙を先生に気づかれないように返すと
彼はその紙にまた何かを書き込み
私に渡してきた