隣の席の及川くん。
いきなりの質問に私は戸惑いを隠せなかった
「鈴木さんが保健室で寝てる時に言ってたんだよ。助けてって
うまく聞き取れなかったけど魘されてたしさ。俺じゃ力になれないかもだけど話なら聞くしさ!」
どんどん頼ってよね!と言ってくれる彼に罪悪感を覚えた
「私は頼る事をしらない。」
ずっと1人で生きてきた
助けを叫んでも誰もそばにいてくれなかった
それは紛れもなく私が歩んできた道で
そこに手を差し伸べてくれた人を知らない私には頼る事は無理だった
「臆病なんだね鈴木さん。」
「お…くびょう?」
「そう。臆病!人と関わるのが怖いなんて言い訳にすぎないんだよ。ほら!誰かが言ってたでしょ?『人は1人では生きていけない』ただの戯言かもしれない。でもさ、誰かに縋って小さな糸でも掴んで希望を持つのが人間だろ?鈴木さんが頼り方を知らないなら僕はいつでも鈴木さんに手を差し伸べるよ。」
ドキンッ
彼は今までに見た事ないような優しい笑顔を私に向けた
その笑顔は太陽のように暖かくて
私の心臓が弾むのがわかった
「それに何回も言うけど友達だろ?鈴木さんが何て言おうと僕は何度でも手を差し伸べる」
なにそれ
「君は酷い人だね…。私に逃げる言葉が出ないように言うんだね。」
そんな風に聞こえた?と意地悪な笑みをして私を見る彼に
「ありがとう」と伝えた
でもね、この事はまだ言えない
この優しさに少しだけ触れていたいの
やっと知った暖かな気持ち
それを大切にしたいの