隣の席の及川くん。
「はい鈴木です。……分かってます。
はい。お伺いします」
忘れている頃にやってくる
現実に引き戻される
私には時間がないと
そんな事知ってる
時間がないから最後の想い出を作りたかった
だから逃げてきた
だけど逃げても逃げても逃げきれない
それは紛れもなく現実だ
私だって分かってるよ
言われなくてもわかってる
自分の立場ぐらい
だけど戻りたくない
あぁ
どうして神様は私ばかりを辛くするの
私だって弱いんだよ
隙を狙ってはいりこんでこないでよ
部屋の空気が悪い
外に行こうかな
そういえば新しく隣町にデパートが出来たんだっけ
美緒が言ってた
私はデパートに行く準備をした
黒のスキニーにVネックのTシャツ
シンプルな格好
小さめのショルダーバックに携帯と財布を入れ家を出た