隣の席の及川くん。


「美緒誰かの事が好きなの?」


気づいたら私の口から出ていた声

あまりにもせつなそうに言う美緒に私の胸が苦しくなるのを感じた


「そうね。ずっと想ってる……。でもね、私じゃダメみたいなの」


あぁ
恋は人を弱くするんだね
だって普段強そうな美緒が好きな人の事を思うとこんなに弱々しくなるんだもの


私はぎゅっと美緒を抱きしめた


「そんなに想ってもらって美緒の好きな人は幸せ者だね。」

素直な気持ちを美緒に伝えた


「ホントだよ…、気づいてくれないとんだ馬鹿野郎だけどね。」

と美緒の顔にはさっきまでの切なげな瞳じゃなく何時もの美緒に戻っていた




「美華好きになる事は自由だよ?なにも考える必要はない。素直でいなきゃ私みたいにずるずるとひっぱるだけだよ?自分に嘘をつくのはだめ」


素直か。

気づいてはいた
この暖かな気持ちそれと反対の冷めた気持ち

恋愛とは厄介だ


私がいくらもがいて心から追い払っても
直ぐに思い浮かぶ

でもどうしようもないんだ


「ダメなんだよ。私には」


「どういう事?」


「私にはダメなの。」

「そっか…。でもね覚えておいて。自分の気持ちを殺す事が何より辛いか。私は美華がいいって言うならこれ以上なにも言わない。よし!教室もどろっか!」



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