隣の席の及川くん。




私達はトイレから出て教室に戻った


「でもさ、何で及川君は私に嘘をついたの?」


「それはあいつなりの優しさ。無理矢理女からキスされたなんて言ったら女の子が可哀想だからとか言ってた。湊は変なところで何時も優しいの。だからあの時だって…………。」


「ん?あの時?」


「ううん!忘れて!あ、先生きた!席に戻るね」


美緒なにを言おうとしたの?
彼女の顔が曇ったのを私は見逃さなかった


拓海くんと美緒は意味深な言葉を私に言ってそのくせ私が聞くと答えない


また一つモヤモヤが増える


その原因の彼はずっと机に伏せたまま


なんで私に本当の事言わないのよ

ひどい態度どっちゃったな


謝らなきゃ

でもどうやって?

悪いのは私だ一方的に怒って及川くんにあんな顔をさせた


それに隣の席だからなおさらだ
こんな空気耐えられない

前の私なら耐えたのかもしれない

でも今は違う
私の中で膨れ上がる感情
その感情は明らかに及川くんに向けられた気持ちだ



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