黄金と四聖獣
「…俺を人というのか?おかしな奴だな。俺は石から出来た化け物だ。」
白虎はそう、目を伏せながら言った。
「それに俺は昔、すべてを失った。信頼できる友に、主、愛する人も。もう、自由なんかいらない」
白虎はそう言い放つと、こちらに背を向けた。
…全てを失ったと言うほど、沢山のものを
失い、たった一人でここに閉じ込められていた
白虎は、どれほど苦しかったのだろう…
「…白虎の悲しさは、私には全ては推し量れない。けど、そんな話を聞いたからこそ、尚更白虎をここに置き去りになんてできない。私たちが、新しい白虎の友になる。」
私はそっと白虎の肩に手を置いて言った。
「それに、白虎をまだ待っている人がいるよ」
そう、白虎の背に向かっていうと
白虎は勢いよく振り返った。
「リズリか?まだ生きてるのか?」
目を見開いて、そう聞く白虎の瞳には
今まで見られなかった光が見えた。
リズリとは、麒麟とずっと白虎の側で使える
と約束していたという女将さんの事だろう。
「今でも、白虎の帰りを待ってる。そして私も、私の仲間達も、白虎のことを待っているよ」
そう言いながら私はそっと白虎に手を
差し出した。
「行こう白虎、外の世界へ」
私がそう言うと、白虎は私の手を見て
それから私の顔を見て、下を向いた。
そして唇を噛み締めると顔を上げた。