黄金と四聖獣
フィアネside


シオン様が倒れてしまってから、何時間たった


のだろう…




全然起きる気配のないシオン様の身体を


エーラと二人で抱き抱えながら、私は


水晶の壁の方を見ていた。




クオンも、水晶の壁の方へ行き、つついて


みたりしていたが、壁はビクともしなかった。




「クオン、おいで」



クオンにそう声をかけると、いつものように


すぐには飛んでこないで、その場でこちらを


見ながらピィと小さな声で鳴いた。




「大丈夫よ、シオン様は帰ってくるから」


そう言うと、クオンは私のすぐそばまで


飛んできて丸くなった。




「…遅いな」


エーラが呟くように言って、心配そうに


シオン様を見た。





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