黄金と四聖獣



いつもは大人しいエーラがこんなにムキになる


なんて珍しい…



稀なエーラの姿を見て、くすっと笑って


しまった。




「二人とも、その辺にしておけー」


と、シオン様が苦笑いしながら割って入る。




「しかし…」


と、エーラはむすっとしながら言い返そうと


して、ハッとしたように口をつぐんだ。




「おーおー、主人には従うか。犬みたいだな」


とゼンが言うが、エーラはもうそれには応じず


ふいっと顔を背けた。




「ゼン、私のことは何と呼んでくれても構わないよ。行こうか、女将の所へ案内する」


シオン様がゼンにそう言うと、ゼンは


「…まだ生きているっていうのは驚いた。麒麟に頼んだんだろうな」



と言った。





「女将さん、あなたの帰りをずっと待っていたみたいよ。麒麟様に頼んだ、というのは?」


と私が聞くと、



「知らないのか?麒麟が元の姿に戻った時、黄金の角の光を浴びたものは永遠の命を手に入れられるんだ」



と、ゼンが答えた。



それであの時、女将さんは麒麟様から永遠の命


をいただいた、と言っていたんだ…



と、納得がいった。




その後、少し沈黙してから、



「随分チビだなお前」


と、突然ゼンが言い放った。





確かに、並ぶとゼンの肩よりも少し下ぐらい


だった。





< 155 / 418 >

この作品をシェア

pagetop