黄金と四聖獣
いつもは大人しいエーラがこんなにムキになる
なんて珍しい…
稀なエーラの姿を見て、くすっと笑って
しまった。
「二人とも、その辺にしておけー」
と、シオン様が苦笑いしながら割って入る。
「しかし…」
と、エーラはむすっとしながら言い返そうと
して、ハッとしたように口をつぐんだ。
「おーおー、主人には従うか。犬みたいだな」
とゼンが言うが、エーラはもうそれには応じず
ふいっと顔を背けた。
「ゼン、私のことは何と呼んでくれても構わないよ。行こうか、女将の所へ案内する」
シオン様がゼンにそう言うと、ゼンは
「…まだ生きているっていうのは驚いた。麒麟に頼んだんだろうな」
と言った。
「女将さん、あなたの帰りをずっと待っていたみたいよ。麒麟様に頼んだ、というのは?」
と私が聞くと、
「知らないのか?麒麟が元の姿に戻った時、黄金の角の光を浴びたものは永遠の命を手に入れられるんだ」
と、ゼンが答えた。
それであの時、女将さんは麒麟様から永遠の命
をいただいた、と言っていたんだ…
と、納得がいった。
その後、少し沈黙してから、
「随分チビだなお前」
と、突然ゼンが言い放った。
確かに、並ぶとゼンの肩よりも少し下ぐらい
だった。