黄金と四聖獣



「なんだ?」


思い出したのか?


俺達のことも、自分のことも…




「もしかしたらここは…前世で私たちが会った所なのかもしれないな」


と微笑みながら言った麒麟の言葉に、



俺は落胆とともに怒りまで感じて





「何が前世だこのすっとぼけ!」


と麒麟に向かっていう。




すると、麒麟は


「きゅ…急にどうした…ゼン…」


と驚いたように俺を見る。




「麒麟、朱雀、青龍、玄武、白虎。この中に、お前が知ってる単語はあるか?」


そう俺が聞くと、麒麟は




「…いや、どれも知らないが?」


と困ったように答えた。





「…」


俺は悔しさから、少し唇を噛み締めた。



どうしたら記憶を取り戻してくれるのか…


全く見当もつかなかった。





「…もう、帰ろうか」


そう麒麟に言うと、麒麟は



「そうだな、あの宿の少女に荷物をあずけたままだし」


とうなずきながら答えた。






< 177 / 418 >

この作品をシェア

pagetop