黄金と四聖獣
「なんだ?」
思い出したのか?
俺達のことも、自分のことも…
「もしかしたらここは…前世で私たちが会った所なのかもしれないな」
と微笑みながら言った麒麟の言葉に、
俺は落胆とともに怒りまで感じて
「何が前世だこのすっとぼけ!」
と麒麟に向かっていう。
すると、麒麟は
「きゅ…急にどうした…ゼン…」
と驚いたように俺を見る。
「麒麟、朱雀、青龍、玄武、白虎。この中に、お前が知ってる単語はあるか?」
そう俺が聞くと、麒麟は
「…いや、どれも知らないが?」
と困ったように答えた。
「…」
俺は悔しさから、少し唇を噛み締めた。
どうしたら記憶を取り戻してくれるのか…
全く見当もつかなかった。
「…もう、帰ろうか」
そう麒麟に言うと、麒麟は
「そうだな、あの宿の少女に荷物をあずけたままだし」
とうなずきながら答えた。