黄金と四聖獣
宿の少女から荷物を受け取り、俺達は
他の四聖獣が待っている場所まで帰った。
「どうだった!?」
そう一番に俺を迎えたのは、とても長い赤い
髪を後ろで三つ編みにしている女。
朱雀のイーリアだった。
「ダメだ。」
と、俺が一言で答えると、イーリアは
しゅんと肩をすくめた。
「…どうしたら、麒麟様は思い出して下さるのかしら…もう二度と朱雀と呼んでもらえないなんて嫌よ」
とイーリアは寂しそうにいう。
「次はお前の番だろ。そう思うのなら頑張れ」
そうイーリアの肩にポンと手を置きながら
言った。
「…ゼンだって、もう白虎って呼ばれないのは嫌でしょう?」
そういうイーリアに俺は
「俺は呼び方なんかどーでもいいんだよ。」
と返した。
「なによ、本当は寂しいくせに」
とイーリアが頬を膨らませながら言うのに、
「別に忘れられて寂しくないとは言ってないだろ。呼び方はどーでもいいだけだ。すっとぼけ野郎の記憶は、四人で取り返すぞ」
とイーリアと目線を合わせながら答えた。
それにイーリアは嬉しそうに頷いてから
「旅支度してくるわ!」
と言って走って行った。