黄金と四聖獣
正直、それは思っていたことだった。
懐かしいと思っていた事も、前世の事だと
思い込んでしまっている麒麟が、俺達のことを
思い出すのはかなり難しいだろう、と。
けど、希望を捨てずに祠に向かった
イーリアを見ていると、それを言葉にして
しまうのは、あんまりだと思ってしまう。
「さぁな、俺はバカだから、そんな事考えてなかった。」
それだけ言うと、
「どうだかね〜」
とドラグが呟くように言った。
「ゼンも、考えておいてよね、次の作戦」
ドラグにはそう言われたものの、俺達には
祠以上の麒麟との思い出の場所なんて
思いつかなかった。
この場の沈み込んだ空気が嫌になった俺は
行くところもないのに、ふらっと町の外へ
出ていた。
そして自然と足が向かったのは、麒麟と
一緒に泊まった宿だった。