黄金と四聖獣
入口の戸をガラッと開けると、
「いらっしゃいませー!」
と、宿の奥から大きな声が聞こえた。
そしてバタバタと少女が走り出てきて、
こちらの姿を見た瞬間、驚いた様な顔をした。
「あらあらあら、また来てくれたんですか?ゼンさん」
という少女に、
「悪いけど、泊まりにきたわけじゃないんだ」
と言うと、
「まぁまぁ、なにかお悩みですか?相談に乗りますよ」
と、少女は微笑みながら言った。
本当に自然と足が向いたから来てみたものの、
相談なんて、ただの人である少女にはできない
と、わかっていた。
「さぁさ、そちらに座って!」
そんな俺の気持ちも知らず、少女は俺を長椅子
座らせて、その横に自分も腰掛けた。
「なんでも、このリズリに言ってみなさい!」
と、満面の笑顔でいう少女。
「…そういえば…お前、名はリズリというのか?」
前に来た時は、名など聞く機会も無かったため
知らなかったのだ。