黄金と四聖獣
「はい、そうですよ。リズリと申します。このリズリ、お悩み相談は得意なんですよ」
と笑うリズリに、俺は自然と口から
質問をこぼしていた。
「…リズリは、もし、大切な人が自分に関する記憶を一切無くしてしまったら、どうする?」
その質問に、リズリは一旦ポカンとした後、
「私は、そのまま、何も変わらずに接しますかね。新しい友として」
と答えた。
それはあまりにも意外だった。
「だって自分のことすべて忘れてるんだぞ?全部今まで通りなんて無理…」
とまで言った時、リズリは俺の言葉を遮って
「確かに、すべて今まで通りは無理かも知れません。でも、記憶がなくてもその人は自分の大切な人なのだから、態度を変える必要はないでしょう?」
と、言った。
…記憶がなくても、麒麟は…
俺達の、大切な人…。
「過去を振り返って、落胆するのではなく、大切な人と、新しい関係で、新しく大切な思い出を築いていくことが、大切なんじゃないですかね。そうすれば、記憶をなくす前までよりも、もっと深く、強い絆ができるんじゃないかと、あたしは思いますよ。」
笑顔でリズリが放った言葉は、なぜだか
とても、説得力があった。
今のように、過去にしがみついて取り戻そうと
頑張るのではなく、未来を向いて
新しく多くのものを手に入れる…
それこそ、俺達が今、麒麟とすることなんだ。