黄金と四聖獣
森の中にある、切り立った崖の上から
悲鳴が聞こえた谷間の方を見下ろすと、
そこには、一人の女の腕を掴んでいる
ガタイの良い男達がいた。
顔までは見えないが、賊かなにかだろう。
そう思った俺は、そのまま崖から飛び降りる。
そして指に力を入れると、たちまち鋭い爪が
生えた。
…この爪を出すのはいつぶりだ?
なんて思いながら、落ちる勢いをそのままに、
ガタイの男達をなぎ払った。
「な…な…なんだ…!?」
爪の一撃を受けなかった男が驚いたように
こちらを見たと思うと、恐怖で顔が歪む。
「な…なんだその目は…化け物…!!」
そう俺の目を見ながら言う。
恐らく、爪を出したから、瞳も虎のような獣
の瞳に変化したのだ。
「…お前ら。さっさとここから去った方がいいぞ。でなきゃ…殺しちまうかもしれないから」
そう言うと、賊達はすぐに
「ひぃぃぃっ!!」
と叫びながら逃げていった。
「…お前も早くこの森から出ろ」
俺は女の姿を確認せずに、背を向けたままそう
言い放つ。
「…ゼン…?」